昨日2021年12月22日(冬至)付で「ヴァルナブルな人たち」第二号を発表しました。
今回私は日本に帰国し、待機場所のホテルで1週間、まさに缶詰状態で執筆・編集作業を行いました。
ドイツからの帰国者は私の帰国時点では6日間のホテル隔離(外出禁止)が義務付けられていました。食事は1日3回、朝・昼・晩と部屋のドアノブにかけられており、館内放送が流れるとマスクを着用してそのお弁当を回収し、いただくという形でした。お弁当は毎回充分過ぎるものでしたが、3日目を過ぎたあたりから全てのおかずが同じ味をしているように感じました。煮物も炒め物もおひたしも。毎日白米と緑茶が配給されました。お弁当の主食はお肉かお魚でした。事前に申請していればヴィーガンや宗教対応のお弁当を選択することも出来たようです。
ホテルからは山が見えました。
駅やカラオケ、パチンコ屋、灰色の建造物の隙間から見える山は私の救いでした。山は毎日変わらずそこにありました。でも自分にはそれが不思議でなりませんでした。その山が動かないことが不思議でした。山が近付いてきているという妄想を始めました。山が自分に迫って来ているのです。でも毎日起きて、窓を開けて見ると山は変わらず同じ場所にいました。夜になって暗くなっても明るくそこにある駅やパチンコ屋と違って、夜になると山は見えなくなりました。夜になると山が消えるというのは自分の中でとても自然なことでした。夜になると山も家に帰るのだと思いました。朝起きると山はそこにいます。1日目に見たのと同じ場所だと思います。でもそれが少し動いていても、自分はきっと気づかないだろうと思いました。6日目に部屋を出る時に部屋の窓は開けたままにしておきました。外に出てから周りを見ましたが、建物に隠れてなのか山は見えませんでした。山は私があの部屋にいる時だけあそこにいたのかもしれません。
その日は満月で、空港から高速に乗って帰る道すがら、月の祝福を受けました。月は私達をいつまでも追いかけてくれていたように思います。
第二号の表紙テーマは「赤い山とコイン」です。木村さんの書いてくださった記事を読むと、この不思議な言葉の並びの謎が紐解かれるかもしれません。
私は「忘却」について書きました。裏話?をこれからBlogでも公開出来ればと考えています。そして巻末に占い、というか神託?のページもあります。私からのちょっとした詩の贈り物のようなイメージで書きました。みなさんに楽しんで頂ければと思います。
それから今回は私の側から二人、友人に参加してもらいました。
みずのえなさんとはとても長い付き合いです。彼女は今回、彼女の「生活」について書いてくれました。彼女はzinestaanというZineの活動も最近始めたようなので興味のある方は見てみてください。(@zinestaan)
もう一人書いてくださったのはKaTeさん。彼女は身体性、ダンス、声、女性性などについて関心があり、今回は詩を書いてくれました。彼女の音声を録音したものも今後こちらで公開出来ればと考えています。
今回も非常に多様な、けれどどこかに関連性があるような不思議な号になりました。次回の発行は来年の春分の日を予定しています。instagramでは公開前にカウントダウンを行ったり、表紙の写真を更新したりしているので気になる方はフォローしてみて下さい(@magazine_vulnerable_people)。みなさんもよいお年をお迎えください◎
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